LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)は、大量のデータから言語のパターンや関係性を学習し、文章の生成や要約、翻訳、質問への回答などを行えるAIモデルです。
近年は、ChatGPTをはじめとする生成AIサービスの普及によって、LLMがビジネスや日常生活のさまざまな場面で利用されるようになっています。
LLMというと「文章を作るAI」というイメージを持たれやすいですが、実際には文章作成だけでなく、情報整理、データ分析の支援、プログラミング、カスタマーサポートなど幅広い用途に活用できます。
ここでは、LLMでできることについて詳しく解説します。
文章を作成できる
Web記事やブログ記事を作成できる
LLMの代表的な機能の一つが文章生成です。
テーマや条件を入力すると、その内容に沿った文章を生成できます。
たとえば、以下のようなコンテンツを作成できます。
- Web記事
- ブログ記事
- 商品説明文
- メール
- SNS投稿
- 広告文
- プレスリリース
- レポート
- マニュアル
- プレゼンテーションの原稿
また、「専門家向け」「ビジネス向け」「親しみやすい文章」など、読者に合わせて表現を調整することも可能です。
文章のたたき台作成にも向いている
LLMで生成された文章をそのまま使用するだけでなく、最初のたたき台として活用する方法もあります。
人間がゼロから文章を書く場合、構成を考えたり表現を検討したりする必要があります。
LLMに最初の原稿を作成させ、その後、人間が修正・加筆することで、文章制作の時間を短縮できます。
長い文章を要約できる
重要なポイントを短くまとめられる
LLMは、長い文章から重要な情報を抽出し、短くまとめることができます。
たとえば、数千文字の記事やレポートを数百文字程度に要約することが可能です。
具体的には、以下のような用途があります。
- ニュース記事の要約
- 論文の要約
- 会議議事録の要約
- レポートの要点整理
- 長いメールの要約
- マニュアルの要約
大量の文章を短時間で確認したい場合に便利です。
箇条書きで整理することもできる
単純に文章を短くするだけでなく、重要なポイントを箇条書きにすることもできます。
たとえば、会議の議事録から「決定事項」「課題」「担当者」「今後の対応」などを整理することも可能です。
情報を構造化して読みやすくする用途にもLLMは活用できます。
文章をリライトできる
読みやすい文章に書き換えられる
LLMは、既存の文章を別の表現に書き換えることもできます。
たとえば、以下のようなリライトが可能です。
- わかりやすい文章への変更
- ビジネス向け表現への変更
- 丁寧な文章への変更
- 短い文章への要約
- 表現の重複削除
- 誤字脱字の修正
- 敬語の修正
- 文体の統一
「この文章を初心者でも理解できるようにしてください」と指示すれば、難しい表現を簡単な言葉に変更することもできます。
校正や文章チェックにも利用できる
LLMは文章の違和感や誤字脱字を確認する用途にも利用できます。
ただし、事実関係まで必ず正しく確認できるとは限りません。
専門的な記事や重要な文書の場合は、生成された内容を人間が確認することが重要です。
翻訳できる
さまざまな言語を翻訳できる
LLMは、多言語の文章を翻訳することもできます。
たとえば、日本語から英語、英語から日本語だけでなく、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語など、さまざまな言語を扱えます。
単純な直訳だけでなく、文章の目的に応じて表現を変更できる点も特徴です。
たとえば、
「海外企業向けの自然なビジネス英語にしてください」
と指示すれば、ビジネスメールに適した表現に調整できます。
文脈を踏まえた翻訳も可能
LLMは前後の文脈を考慮しながら文章を処理するため、文章全体の意味に合わせて翻訳できます。
そのため、単語単位の置き換えではなく、自然な文章になるよう調整した翻訳が可能です。
質問に回答できる
会話形式で情報を調べられる
LLMは、ユーザーからの質問に対して文章で回答できます。
たとえば、
「SEOとは何ですか」
「PythonとJavaScriptの違いを教えてください」
「生成AIの仕組みを初心者向けに説明してください」
といった質問に回答できます。
さらに、回答内容について追加で質問することで、会話を続けながら理解を深めることができます。
難しい内容をわかりやすく説明できる
LLMは説明の難易度を調整することもできます。
たとえば、
「小学生でもわかるように説明してください」
「専門家向けに詳しく説明してください」
などと指定することで、ユーザーの知識レベルに合わせた説明を生成できます。
アイデアを出せる
ブレインストーミングに活用できる
LLMは、新しいアイデアを考える作業にも向いています。
たとえば、以下のようなアイデアを出すことができます。
- ブログ記事のテーマ
- Webコンテンツの企画
- 商品名
- サービス名
- 広告コピー
- SNS投稿
- キャンペーン企画
- YouTube動画の企画
- 新規事業のアイデア
複数のアイデアを短時間で生成できるため、ブレインストーミングの補助ツールとして利用できます。
複数案を比較できる
LLMに「20案出してください」などと指示すれば、一度に多くのアイデアを生成できます。
その中から人間が有望なアイデアを選び、さらに改善していくといった使い方が可能です。
情報を整理できる
複雑な情報を構造化できる
LLMは、大量の文章や情報を整理する作業にも利用できます。
たとえば、情報を以下のような形式に整理できます。
- 箇条書き
- 表
- FAQ
- 手順
- カテゴリー
- 比較表
- メリット・デメリット
複雑な情報を読みやすい形に変換できるため、資料作成や情報整理にも役立ちます。
必要な情報だけを抽出できる
文章の中から特定の情報だけを取り出すこともできます。
たとえば、顧客から届いた問い合わせ文から、
「氏名」
「問い合わせ内容」
「商品名」
「希望する対応」
などを抽出するといった使い方が可能です。
文章を分類できる
内容ごとにカテゴリー分けできる
LLMは文章の意味をもとに、一定のカテゴリーへ分類することもできます。
たとえば、ECサイトの問い合わせを、
「配送」
「返品」
「商品について」
「支払い」
「その他」
といったカテゴリーへ分類できます。
大量の問い合わせを整理する場合などに活用できます。
感情分析にも利用できる
口コミやアンケートなどの文章を、
「肯定的」
「中立」
「否定的」
といったカテゴリーに分類することも可能です。
商品レビューやSNS投稿などを分析する際に活用できます。
ただし、人間の感情には曖昧さがあるため、分類結果が必ず正しいとは限りません。
プログラミングを支援できる
コードを生成できる
LLMは自然言語だけでなく、プログラミングコードの生成にも利用できます。
たとえば、
「PythonでCSVファイルを読み込んで集計するプログラムを作成してください」
といった指示からコードを生成できます。
対応できる作業としては、以下があります。
- コード生成
- コード修正
- バグの原因調査
- コードの解説
- SQL作成
- 正規表現作成
- テストコード作成
- リファクタリング
プログラミング学習にも利用できる
生成されたコードについて、
「このコードが何をしているのか説明してください」
と質問することもできます。
そのため、プログラミング初心者の学習支援にも活用できます。
ただし、LLMが生成したコードにバグやセキュリティ上の問題が含まれる可能性はあります。
実際に使用する場合は、必ず動作確認やレビューを行うことが重要です。
データ分析を支援できる
データの傾向を説明できる
LLMは、表や数値データについて説明する用途にも活用できます。
たとえば、アクセス解析データをもとに、
「アクセス数が増えているページを教えてください」
「売上が減少している原因として考えられることを整理してください」
といった分析を支援できます。
PythonやSQLと組み合わせれば高度な分析もできる
LLM単体ですべての計算を正確に行えるとは限りません。
そのため、実務ではPython、SQL、表計算ソフト、BIツールなどと組み合わせて利用するケースがあります。
これらのツールを利用することで、
- データ集計
- 統計分析
- グラフ作成
- 売上分析
- アクセス解析
- 顧客分析
などを効率化できます。
Webマーケティングに活用できる
SEOコンテンツ制作を支援できる
LLMはSEOコンテンツ制作にも活用できます。
たとえば、以下のような作業が可能です。
- 記事テーマの提案
- 見出し構成の作成
- タイトル案の作成
- 本文の作成
- FAQの作成
- メタディスクリプションの作成
- 既存記事のリライト
ただし、LLMで記事を作成しただけで検索順位が上がるわけではありません。
検索意図に合った情報を提供できているか、情報が正確か、独自性や有用性があるかなどを確認する必要があります。
広告文の作成にも利用できる
LLMは広告コピーの作成にも向いています。
たとえば、
「30代男性向けの商品広告コピーを20案作ってください」
と指示すれば、複数の広告文を短時間で作成できます。
広告のA/Bテスト用に複数の案を作る場合にも便利です。
SNS運用にも活用できる
SNS運用では、以下のような作業を支援できます。
- 投稿文作成
- キャプション作成
- 投稿テーマの提案
- キャンペーン企画
- コメント返信案
- 投稿スケジュール作成
SNS担当者のアイデア出しや文章作成を支援する用途にも活用できます。
カスタマーサポートに利用できる
AIチャットボットを構築できる
LLMをFAQや企業のデータと組み合わせることで、カスタマーサポート向けのAIチャットボットを構築できます。
たとえば、ECサイトで、
「返品できますか」
「配送には何日かかりますか」
「サイズ交換は可能ですか」
といった質問に自動で回答する仕組みを作れます。
LLMは質問の表現が多少異なっていても文脈を踏まえて処理できるため、柔軟な問い合わせ対応が可能です。
社内情報検索に利用できる
社内文書を検索して回答できる
LLMと社内文書やデータベースを組み合わせれば、社内向けのAIアシスタントを構築できます。
たとえば、
「経費精算のルールを教えてください」
「有給休暇の申請方法を教えてください」
と質問すると、社内規定などを参考に回答する仕組みを作れます。
RAGを利用して外部情報を参照できる
こうした用途で利用される技術の一つがRAGです。
RAGは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、日本語では「検索拡張生成」と呼ばれます。
RAGでは、外部の文書やデータベースから質問に関連する情報を検索し、その情報をLLMに与えて回答を生成させます。
LLMが学習時に持っていなかった企業独自の情報などを回答に利用できる点が特徴です。
教育や学習に利用できる
個人のレベルに合わせて説明できる
LLMは教育や学習支援にも活用できます。
たとえば、
「中学生でも理解できるように説明してください」
「この内容を大学生向けに詳しく説明してください」
などと指示できます。
理解度に応じて説明方法を変えられる点が特徴です。
問題作成や学習計画も作れる
教育分野では、以下のような使い方もできます。
- 練習問題の作成
- 問題の解説
- 英会話練習
- プログラミング学習
- 資格試験対策
- 学習スケジュール作成
学習者が質問しながら理解を深められるため、対話型の学習支援ツールとして利用できます。
LLMと外部ツールを組み合わせればできることが広がる
Web検索と組み合わせて最新情報を調べられる
LLMが内部に持つ知識には、学習時点などの制約があります。
そのため、最新ニュース、商品価格、天気、法律改正などを常に把握しているわけではありません。
一方で、Web検索機能と組み合わせたAIシステムでは、インターネットから最新情報を取得して回答に利用できる場合があります。
APIと組み合わせて外部サービスを操作できる
LLMをAPIやツール実行機能と組み合わせることで、文章を生成するだけでなく、実際の処理を行えるAIシステムを構築できます。
たとえば、
- メールを作成・送信する
- カレンダーを確認する
- データベースを検索する
- ファイルを作成する
- 商品情報を取得する
- 業務システムへ情報を登録する
といった処理が可能になります。
ただし、これらはLLM単体の機能ではなく、LLMと外部システムを連携させることで実現します。
LLMを利用するときの注意点
誤った情報を生成することがある
LLMは常に正しい情報を生成するわけではありません。
実際には存在しない情報や、事実とは異なる内容をもっともらしく生成することがあります。
このような現象は一般的に「ハルシネーション」と呼ばれます。
特に、医療、法律、金融、学術、統計など正確性が重要な情報については、公式情報や一次情報を確認することが重要です。
最新情報を必ず持っているわけではない
LLMがモデル内部に持っている知識には、学習した時点やデータの範囲による制約があります。
そのため、最新ニュースや現在の価格、制度変更などについては、最新情報を確認する必要があります。
Web検索機能などを備えたAIであれば最新情報を参照できる場合もありますが、情報源の確認は必要です。
人間と同じ方法で言葉を理解しているわけではない
一般的な生成型LLMは、入力された文脈をもとに、次に続く可能性が高いトークンを計算しながら文章を生成します。
トークンとは、LLMが文章を処理するときの単位で、単語そのものだけでなく、単語の一部や文字などになる場合があります。
LLMは非常に自然な文章を生成できますが、人間と同じ意識や経験を持って言葉を理解しているわけではありません。
LLMが得意な作業とは
作成・要約・変換・分類・抽出・説明・発想に強い
LLMが得意とする作業は、大きく以下のように整理できます。
「作成」は文章やコードを新しく作る作業です。
「要約」は長い情報を短くまとめる作業です。
「変換」は文章を別の表現や形式に変更する作業です。
「分類」は文章をカテゴリー分けする作業です。
「抽出」は文章から必要な情報だけを取り出す作業です。
「説明」は複雑な情報をわかりやすく伝える作業です。
「発想」はアイデアや企画案を考える作業です。
このように、LLMは特に言葉を扱う知的作業との相性がよい技術です。
まとめ
LLMでできることは、文章生成だけではありません。
文章作成、要約、翻訳、リライト、質問回答、情報整理、分類、アイデア出し、プログラミング、データ分析支援、Webマーケティング、カスタマーサポート、社内情報検索など、非常に幅広い用途があります。
さらに、Web検索、Python、データベース、API、業務システムなどの外部ツールと組み合わせることで、LLMの活用範囲はさらに広がります。
一方で、LLMが生成する情報は必ず正しいとは限りません。
誤った情報を生成する可能性があるほか、LLM内部の知識だけでは最新情報に対応できない場合もあります。
そのため、重要な情報については人間が確認し、必要に応じて一次情報や公式情報と照合することが大切です。
LLMを人間の完全な代替として考えるのではなく、文章作成、情報整理、調査、分析、アイデア出しなどを効率化する「知的作業の支援ツール」として活用することで、そのメリットをより活かしやすくなります。
以上、LLMで何ができるのかについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
