C++は、高速な処理を実現しやすく、メモリやハードウェアを細かく制御できるプログラミング言語です。
ゲーム、デスクトップアプリ、組み込みシステム、ロボット、自動車、金融システムなど、幅広い分野で利用されています。
特に、リアルタイム性、処理性能、メモリ効率、ハードウェア制御が重要になる開発で強みを発揮します。
ただし、C++を使えば、どのようなプログラムでも自動的に高速になるわけではありません。
実際の性能は、アルゴリズム、データ構造、プログラムの設計、コンパイラーの最適化、使用するライブラリなどによって変わります。
また、大規模なシステムでは、すべてをC++だけで開発するとは限りません。
Python、Java、JavaScript、Kotlin、Swift、C#など、ほかのプログラミング言語と組み合わせて使用されることも一般的です。
C++で作れる代表的なもの
ゲーム
C++では、パソコンゲーム、家庭用ゲーム、スマートフォンゲーム、VRゲームなどを開発できます。
ゲームでは、キャラクターの動き、画面描画、物理演算、音声処理、通信処理などを短時間で実行しなければなりません。
C++は高性能な処理を実装しやすいため、リアルタイム性が求められるゲーム開発に適しています。
C++を使って開発できるゲームには、次のようなものがあります。
・2Dアクションゲーム
・3Dアクションゲーム
・シューティングゲーム
・ロールプレイングゲーム
・シミュレーションゲーム
・オンライン対戦ゲーム
・VRゲーム
ただし、大規模なゲームを完成させるには、プログラムだけでなく、グラフィック、音楽、シナリオ、演出、レベルデザインなども必要です。
ゲームエンジン
C++では、ゲーム開発の土台となるゲームエンジンを作ることもできます。
ゲームエンジンには、画面描画、物理演算、入力処理、音声再生、通信、データ管理などの機能が含まれます。
代表的なゲームエンジンであるUnreal Engineでは、C++とBlueprintと呼ばれるビジュアルスクリプティング機能を組み合わせてゲームを開発できます。
C++は、ゲームの基盤機能、独自システム、処理負荷の高い機能などを実装する際に利用されます。
ただし、ゲームエンジンを一から作るには、C++だけでなく、数学、物理、コンピューターグラフィックス、メモリ管理などの幅広い知識が必要です。
デスクトップアプリ
C++では、Windows、macOS、Linuxなどで動作するデスクトップアプリを開発できます。
例えば、次のようなソフトウェアを作れます。
・テキストエディター
・画像編集ソフト
・動画編集ソフト
・音楽制作ソフト
・CADソフト
・ファイル管理ソフト
・データ解析ツール
・業務管理ソフト
・ユーティリティーソフト
C++は、大容量の画像や動画を扱うソフトウェアや、複雑な計算を繰り返すアプリに適しています。
ただし、C++の標準機能だけでは、ボタンやメニューを備えた一般的な画面を簡単に作ることはできません。
GUIを作る場合は、Qtなどのフレームワークを利用する方法があります。
GUIとは、ウィンドウ、ボタン、メニュー、入力欄などを使って操作できる画面のことです。
スマートフォンアプリ
C++を使って、AndroidやiOS向けのアプリを開発することもできます。
一般的なネイティブアプリでは、AndroidはKotlin、iOSはSwiftを中心に開発します。
そのうえで、処理速度が必要な機能や、複数のOSで共有したい処理をC++で実装することがあります。
C++が利用される代表的な処理は次のとおりです。
・画像処理
・動画処理
・音声処理
・ゲームの内部処理
・暗号化処理
・AIの推論処理
・複雑な数値計算
Androidでは、NDKを利用してC++のコードをアプリに組み込めます。
iOSでは、SwiftやObjective-C系のコードとC++を連携させる方法があります。
また、Qtやゲームエンジンなどを利用する場合は、C++を主要な開発言語としてモバイルアプリを作ることも可能です。
Webブラウザ
C++では、Webサイトを閲覧するためのWebブラウザや、その内部機能を開発できます。
Webブラウザの内部では、次のような処理が行われています。
・HTMLやCSSの解析
・画面の描画
・JavaScriptの実行
・画像や動画の再生
・ネットワーク通信
・セキュリティー管理
これらの処理では、速度や安定性が重要になるため、C++が利用されています。
ただし、一般的なWebサイトの画面を作る場合は、HTML、CSS、JavaScriptなどを使用します。
C++は、ブラウザ本体や高速な内部処理を作るために使われる言語です。
Webサーバーやバックエンド
C++では、Webサービスの裏側で動作するサーバーやバックエンドシステムを開発できます。
バックエンドとは、利用者から直接見えない場所で、データ処理、認証、通信、データベース操作などを行う部分です。
C++は、次のようなシステムで利用されることがあります。
・大量のアクセスを処理するサーバー
・オンラインゲームのサーバー
・リアルタイム通信システム
・動画配信の処理基盤
・検索システム
・広告配信の処理基盤
・金融取引システム
一般的なWebサービスでは、Java、Go、Python、PHP、Ruby、JavaScriptなどが選ばれることも多くあります。
一方で、低遅延、大量通信、高いCPU効率、メモリ効率などが求められる処理では、C++が有力な選択肢になります。
OSやシステムソフトウェア
C++では、OSの構成要素や、コンピューターを動かすためのシステムソフトウェアを開発できます。
例えば、次のようなものです。
・OSの一部機能
・ファイルシステム
・メモリ管理機能
・ネットワーク機能
・コンパイラー
・デバッガー
・仮想マシン
・コード解析ツール
OS開発では、C++だけでなく、C言語、アセンブリ言語、Rustなどが使い分けられることがあります。
また、デバイスドライバーについても、対象となるOSや開発環境によって、C++またはC言語などが使用されます。
組み込みシステム
C++は、家電や機械の内部に組み込まれる制御システムの開発に使われています。
組み込みシステムとは、特定の機能を実現するために、製品内部に搭載されるコンピューターシステムです。
代表的な製品には次のようなものがあります。
・エアコン
・洗濯機
・冷蔵庫
・テレビ
・デジタルカメラ
・プリンター
・カーナビ
・医療機器
・産業用機械
・通信機器
組み込み機器では、使用できるメモリや処理能力が限られている場合があります。
C++は、メモリ使用量や処理方法を細かく設計できるため、制約のある機器でも効率よく動作するプログラムを作れます。
ただし、リアルタイム性や安全性が重視される環境では、動的メモリ確保、例外処理、一部の標準ライブラリ機能などを制限することがあります。
また、非常に小規模な機器では、C言語が選ばれることもあります。
IoT機器
C++は、インターネットに接続して情報を送受信するIoT機器の開発にも利用されています。
IoTは、Internet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれます。
C++を使って開発できるIoT機器には、次のようなものがあります。
・スマート家電
・温度や湿度を測定するセンサー
・見守りカメラ
・スマートロック
・農業用監視装置
・工場設備の異常検知装置
・位置情報を送信する端末
Arduinoで記述するスケッチは、ビルド時に前処理されたあと、基本的にC++のソースコードとしてコンパイルされます。
そのため、Arduinoを使った電子工作やIoT開発でも、C++の知識が役立ちます。
ロボット
C++は、産業用ロボット、移動ロボット、ドローンなどの開発に利用されています。
ロボットは、センサーから情報を取得し、その内容をもとに短時間で動作を決定する必要があります。
例えば、次のような処理があります。
・カメラ映像の解析
・障害物の検知
・モーターの制御
・現在位置の推定
・移動経路の計算
・物体認識
・音声認識
C++は、高速な処理とハードウェア制御を行いやすいため、ロボット開発に適しています。
ロボット向けのソフトウェア基盤であるROS 2では、C++向けのクライアントライブラリやPython向けのライブラリを利用して、ロボット用プログラムを開発できます。
自動車関連システム
C++は、自動車に搭載されるシステムや、自動車開発に使用するソフトウェアで利用されています。
代表的な分野には次のようなものがあります。
・車載インフォテインメント
・カーナビゲーション
・車載ディスプレイ
・運転支援システム
・自動運転関連技術
・周囲の物体認識
・駐車支援
・車載通信
・走行シミュレーション
制御装置では、製品や安全要件によってC言語などが使用されることもあります。
自動車向けソフトウェアでは、性能だけでなく、安全性と信頼性が非常に重要です。
そのため、一般的なアプリ開発よりも厳しい設計基準、テスト、静的解析、コーディング規約などが求められます。
AI・機械学習システム
AIや機械学習ではPythonが広く使われていますが、高速な内部処理にはC++が利用されることがあります。
Pythonは、モデルの開発、実験、データ分析を行いやすい言語です。
一方、C++は次のような部分で活用されます。
・機械学習フレームワークの内部処理
・AIモデルの推論エンジン
・リアルタイム推論
・組み込み機器へのモデル搭載
・CPUやGPU向けの最適化
・ゲームAI
・ロボットの行動制御
AIのモデル作成や検証はPythonで行い、製品に組み込む部分や高速化が必要な部分をC++で開発する方法もあります。
画像処理・映像処理
C++は、画像や映像を高速に処理するシステムの開発に適しています。
例えば、次のような処理を実装できます。
・画像の拡大や縮小
・色の補正
・ぼかし処理
・輪郭の検出
・顔の検出
・動画の変換
・映像の圧縮
・リアルタイム映像解析
画像処理やコンピュータービジョンの開発では、OpenCVなどのライブラリを利用できます。
高度な物体認識や画像分類では、学習済みAIモデルや推論ライブラリと組み合わせることもあります。
C++による画像処理は、監視カメラ、医療画像、工場の検品、ロボットの視覚機能などに応用されています。
音声処理・音楽制作ソフト
C++では、音声の録音、再生、編集、分析を行うソフトウェアを開発できます。
例えば、次のようなものです。
・音楽プレーヤー
・録音ソフト
・音声編集ソフト
・シンセサイザー
・楽器用エフェクター
・音声プラグイン
・ノイズ除去機能
・音声通話アプリの内部処理
リアルタイム音声処理では、限られた時間内に処理を完了させなければなりません。
C++は、高速な処理と細かな制御が可能なため、音楽制作ソフトや音声プラグインの開発で広く使われています。
ただし、音声が途切れずに再生されるかどうかは、プログラムの速度だけでなく、オーディオバッファー、OS、ドライバー、メモリ確保などにも影響されます。
VR・ARアプリ
C++は、VRやARコンテンツの開発にも利用できます。
VRは仮想空間を体験する技術で、ARは現実の映像にデジタル情報を重ねて表示する技術です。
VRやARでは、利用者の頭や手の動きを取得し、画面をリアルタイムで更新する必要があります。
表示の遅延やフレームレートの低下、視覚と身体感覚のずれなどは、操作性の低下や不快感につながる可能性があります。
そのため、高速な描画や低遅延処理を実現しやすいC++が活用されています。
シミュレーションソフト
C++では、現実の現象をコンピューター上で再現するシミュレーションソフトを開発できます。
代表的なものには、次のようなシミュレーションがあります。
・自動車の走行シミュレーション
・航空機の飛行シミュレーション
・気象シミュレーション
・流体シミュレーション
・建物の構造解析
・電気回路のシミュレーション
・工場の生産シミュレーション
・物理現象のシミュレーション
シミュレーションでは、大量の数値計算を繰り返すことがあります。
C++は、計算処理を最適化しやすいため、科学技術計算や工学分野でも利用されています。
金融システム
C++は、金融分野の中でも、特に低遅延と高速処理が求められるシステムに使われています。
代表的なものは次のとおりです。
・株式や為替の取引システム
・市場データの受信システム
・注文処理システム
・価格計算システム
・リスク計算システム
・大量データの分析基盤
金融取引では、わずかな処理時間の差が重要になる場合があります。
C++は、メモリ配置や通信処理を細かく最適化できるため、低遅延システムで採用されます。
ただし、金融機関のすべてのシステムがC++で作られているわけではありません。
顧客管理、Webサービス、データ分析などでは、Java、C#、Python、SQLなども利用されています。
科学技術計算
C++は、大学、研究機関、製造業などで行われる科学技術計算にも利用されています。
具体的には、次のような分野です。
・物理学
・化学
・天文学
・気象学
・生物学
・医療研究
・材料工学
・機械工学
科学技術計算では、膨大なデータや複雑な数式を扱うことがあります。
C++は、高速な計算処理を実現しやすく、既存のC言語やFortranのプログラムと連携しやすい点も特徴です。
過去に作られた研究用プログラムを活用しながら、新しい機能を追加する用途にも使われます。
データベースや検索エンジン
C++では、大量のデータを保存、検索、処理するデータベース管理システムや検索エンジンを開発できます。
データベースでは、大量の情報を効率よく読み書きする性能が求められます。
検索エンジンでは、多数のデータから必要な情報を短時間で探し出す必要があります。
C++は、メモリ、ストレージ、検索処理などを細かく最適化できるため、このような基盤システムに利用されています。
一般の開発者が本格的なデータベースを一から作る機会は多くありませんが、仕組みを学ぶために簡易的なデータベースを作ることは可能です。
セキュリティーソフト
C++では、コンピューターやネットワークを保護するセキュリティーソフトを開発できます。
例えば、次のようなものがあります。
・ウイルス対策ソフト
・不正アクセス検知システム
・暗号化ソフト
・ファイル監視ツール
・ネットワーク解析ツール
・脆弱性検査ツール
・認証システム
セキュリティーソフトは、OSの内部機能やネットワーク通信に深く関わることがあります。
C++は、低い階層の処理を扱いやすいため、このような開発に利用されます。
一方で、メモリの扱いを誤ると、バッファーオーバーフローや不正なメモリアクセスなどの脆弱性につながる可能性があります。
入力値の検証、安全な設計、適切なライブラリの利用が重要です。
開発ツール
C++では、ほかのプログラムを作るための開発ツールも作れます。
代表的なものは次のとおりです。
・コンパイラー
・デバッガー
・ビルドツール
・コード解析ツール
・プロファイラー
・テストツール
・エディター
コンパイラーは、プログラミング言語で書かれたコードを、コンピューターが実行できる形式に変換するソフトウェアです。
デバッガーは、プログラムの不具合を調査するためのツールです。
C++を深く学ぶことで、アプリを作るだけでなく、開発環境を支えるソフトウェアの開発にも関われます。
C++が活用される主な開発分野
ゲーム業界
ゲーム業界では、ゲーム本体、ゲームエンジン、グラフィックス処理、物理演算、オンライン通信などにC++が使われています。
特に、家庭用ゲームや高性能なパソコンゲームでは、高い処理性能が求められます。
Unreal Engineを使った開発では、C++の知識が役立ちます。
自動車業界
自動車業界では、車載システム、運転支援、自動運転、車載ディスプレイ、シミュレーションなどにC++が利用されています。
安全性に関係するソフトウェアでは、厳しい設計基準やテストが必要です。
製造業
製造業では、工場設備の制御、産業用ロボット、画像検査、シミュレーション、CADなどにC++が使われています。
製品の不良を画像から検出するシステムや、機械の動作を制御するシステムなどが代表例です。
家電・電子機器業界
テレビ、カメラ、プリンター、オーディオ機器、スマート家電などの組み込みソフトウェアにC++が利用されています。
限られたメモリや処理能力の中で、安定して動作させる技術が求められます。
金融業界
金融業界では、低遅延の取引システム、市場データ処理、価格計算、リスク計算などにC++が使われています。
特に、処理時間を短くすることが重要なシステムで採用されます。
医療分野
医療分野では、医療画像処理、検査装置、研究用解析ソフト、手術支援システムなどにC++が利用されることがあります。
安全性に直接関係する医療機器では、規格や開発ルールに従い、使用する機能やライブラリが制限される場合があります。
航空・宇宙分野
航空機のシミュレーター、人工衛星のシステム、解析ソフトなどにもC++が利用されることがあります。
航空・宇宙分野では、高い信頼性やリアルタイム性が求められます。
通信・ネットワーク分野
C++は、通信機器、ネットワークサーバー、リアルタイム通信、通信プロトコルの処理などに利用されます。
大量の通信を効率よく処理する必要がある場面で、C++の性能を生かせます。
研究・教育分野
大学や研究機関では、物理シミュレーション、画像解析、数値計算、ロボット研究などにC++が使われています。
また、メモリ、データ構造、コンパイルなど、コンピューターの仕組みを学ぶ教材としても利用されます。
初心者がC++で作りやすいもの
計算機
数字と演算子を入力し、足し算、引き算、掛け算、割り算を行うプログラムです。
変数、条件分岐、入力、出力、関数などの基本を学べます。
数当てゲーム
コンピューターが決めた数字を利用者が当てるゲームです。
乱数、繰り返し処理、条件分岐を学ぶ教材に適しています。
じゃんけんゲーム
利用者とコンピューターがじゃんけんを行うプログラムです。
入力処理、乱数、勝敗判定などを学べます。
クイズゲーム
問題と選択肢を表示し、正解数を集計するプログラムです。
配列、文字列、関数、条件分岐などの練習に向いています。
成績管理プログラム
複数の点数を入力し、合計点、平均点、最高点、最低点を表示するプログラムです。
配列や繰り返し処理を学べます。
ToDo管理プログラム
やることを登録、表示、削除するプログラムです。
文字列、配列、クラス、ファイル保存などを段階的に学べます。
簡単なテキストエディター
文字を入力し、ファイルとして保存するプログラムです。
ファイル操作やGUI開発を学ぶ題材になります。
2Dゲーム
ゲーム用ライブラリを利用すれば、簡単なシューティングゲームやブロック崩しなどを作れます。
座標、当たり判定、描画、入力処理、ゲームループなどを学べます。
C++が幅広い分野で使われる理由
高速な処理を実現しやすい
C++は通常、事前にネイティブコードへコンパイルして実行します。
さらに、メモリ配置やデータ構造を細かく設計できるため、高性能なプログラムを実現しやすい特徴があります。
ただし、C++を使うだけで自動的に高速になるわけではありません。
性能を高めるには、適切なアルゴリズムと設計が必要です。
メモリやリソースを細かく管理できる
C++では、メモリやファイル、通信接続などのリソースを細かく管理できます。
現代的なC++では、標準コンテナ、RAII、スマートポインターなどを利用し、newやdeleteによる手動管理をできるだけ避けるのが基本です。
適切に設計すれば、限られたメモリを効率よく利用できます。
一方で、管理を誤ると、メモリリークや不正なメモリアクセスにつながる可能性があります。
ハードウェアに近い処理ができる
C++では、メモリアドレス、ビット演算、ハードウェア制御など、コンピューター内部に近い処理を記述できます。
そのため、OS、組み込み機器、家電、自動車、ロボットなどの開発で利用されています。
複数のプログラミング手法に対応している
C++は、クラスを使ったオブジェクト指向プログラミングに対応しています。
大規模なプログラムでは、データと処理を役割ごとに整理し、再利用しやすい形で管理できます。
ただし、C++はオブジェクト指向だけの言語ではありません。
手続き型、ジェネリックプログラミング、関数型に近い書き方など、複数の設計方法を組み合わせられます。
多くのライブラリやツールを利用できる
C++には標準ライブラリに加え、多数の外部ライブラリやフレームワークがあります。
用途に応じて、次のような機能を追加できます。
・GUI
・画像処理
・ゲーム開発
・ネットワーク通信
・数学計算
・AI
・音声処理
ただし、C++の標準ライブラリだけでは、一般的なウィンドウやゲーム画面を簡単に表示できません。
GUIフレームワーク、描画API、ゲームライブラリなどを目的に応じて導入する必要があります。
長年利用されてきた実績がある
C++は長い歴史を持ち、多くの企業、研究機関、製品で利用されてきました。
そのため、既存のプログラム、ライブラリ、ノウハウが数多く蓄積されています。
新しいシステムの開発だけでなく、既存システムの保守、改修、機能追加でも需要があります。
C++で開発する際の注意点
習得難易度が比較的高い
C++は自由度が高い一方で、覚える内容が多い言語です。
変数、関数、クラスだけでなく、ポインター、参照、メモリ管理、テンプレート、継承、コンパイルなども理解する必要があります。
初心者は、一度にすべてを覚えようとせず、基礎から段階的に学ぶことが大切です。
メモリに関する不具合が起こる可能性がある
メモリの扱いを誤ると、メモリリーク、二重解放、不正なメモリアクセスなどが発生する可能性があります。
こうした問題は、プログラムの停止やセキュリティー上の脆弱性につながります。
標準コンテナ、スマートポインター、RAIIなどを活用し、手動のメモリ管理を必要最小限にすることが重要です。
開発に時間がかかる場合がある
C++は細かい制御ができる一方で、ほかの言語よりもコードや設定が複雑になる場合があります。
簡単なWebサービスや業務用ツールであれば、PythonやJavaScriptなどのほうが短期間で開発できることもあります。
C++を選ぶ際は、高速性、メモリ効率、ハードウェア制御などが本当に必要かを検討することが大切です。
開発環境による違いがある
Windows、macOS、Linuxでは、利用できる機能、ライブラリ、ビルド方法などが異なる場合があります。
複数のOSで動作させる場合は、特定の環境に依存しすぎない設計が必要です。
QtやCMakeなど、複数環境への対応を支援するツールを利用する方法もあります。
C++が第一選択になりにくい分野
一般的なWebサイトの画面
一般的なWebサイトの画面は、HTML、CSS、JavaScriptを中心に作ります。
C++は、Webサイトの見た目を直接作るための主要言語ではありません。
ただし、Webサーバーの高速処理やWebブラウザの内部機能には利用できます。
短期間で作る小規模な業務ツール
簡単なデータ整理、ファイル操作、作業の自動化などであれば、Pythonなどのほうが短いコードで作れる場合があります。
C++でも開発できますが、処理性能よりも開発速度を優先する用途では、ほかの言語が適していることがあります。
一般的なスマートフォンアプリの画面
AndroidアプリではKotlin、iOSアプリではSwiftが中心です。
C++は、ゲーム、画像処理、音声処理、共通ロジックなどで活用されることが多い言語です。
C++を学ぶと身につく知識
C++を学ぶと、プログラムの書き方だけでなく、コンピューターがどのように動作しているかを理解しやすくなります。
代表的な知識は次のとおりです。
・変数やデータ型の仕組み
・メモリの仕組み
・ポインターと参照
・オブジェクト指向
・データ構造
・アルゴリズム
・コンパイルとリンク
・ファイル操作
・並列処理
・ネットワーク通信
・ハードウェア制御
これらの知識は、C++以外のプログラミング言語を学ぶ際にも役立ちます。
C++が向いている人
C++は、次のような分野に興味がある人に向いています。
・本格的なゲームを作りたい人
・ロボットや電子工作に興味がある人
・自動車や組み込みシステムを開発したい人
・高速な処理が必要なソフトを作りたい人
・コンピューターの内部構造を理解したい人
・画像処理や音声処理を学びたい人
・科学技術計算やシミュレーションに関わりたい人
一方で、Webサイトを短期間で作りたい人や、簡単な作業を自動化したい人は、別の言語から学び始めたほうが効率的な場合があります。
C++で作りたいもの別の学習内容
ゲームを作りたい場合
最初に、変数、条件分岐、繰り返し、関数、クラスなどを学びます。
その後、座標、ベクトル、当たり判定、ゲームループ、画像描画などを学ぶとよいでしょう。
本格的な3Dゲームを作る場合は、Unreal Engineやコンピューターグラフィックスの知識も必要です。
デスクトップアプリを作りたい場合
C++の基礎に加え、ファイル操作、クラス設計、例外処理、GUIフレームワークなどを学びます。
Qtなどを使うと、ボタンやメニューを備えたアプリを開発できます。
ロボットを作りたい場合
C++の基礎に加え、センサー、モーター、電子回路、通信、数学、制御工学などを学びます。
ROS 2を利用する場合は、Linuxやネットワークの知識も役立ちます。
組み込み機器を作りたい場合
ポインター、ビット演算、メモリ管理、割り込み、通信規格などを学ぶ必要があります。
マイコンや電子回路に関する知識も重要です。
AIシステムを作りたい場合
C++に加え、数学、統計、機械学習、画像処理などを学びます。
モデルの開発や実験にはPythonを使い、製品への組み込みや高速化にC++を使う方法もあります。
まとめ
C++では、ゲーム、デスクトップアプリ、スマートフォンアプリの内部処理、Webサーバー、OS、組み込み機器、IoT、ロボット、自動車、AI、画像処理、音声処理、金融システムなど、幅広いものを開発できます。
特に、処理性能、リアルタイム性、メモリ効率、ハードウェア制御が重視される分野で強みを発揮します。
一方で、文法やメモリ管理の仕組みが複雑で、習得難易度は比較的高い言語です。
C++を学び始める場合は、計算機、数当てゲーム、クイズゲーム、簡単な2Dゲームなど、小規模なプログラムから取り組むとよいでしょう。
基礎を身につけたあとに、ゲーム、ロボット、組み込み、画像処理など、自分が興味を持てる分野へ進むと、学習を続けやすくなります。
以上、C++で作れるものや開発できる分野についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
