バイブコーディングとは
バイブコーディングとは、AIに自然言語で作りたいものを伝え、生成されたプログラムを実際に動かしながら、修正や機能追加も会話形式でAIに任せていく開発スタイルです。
従来のプログラミングでは、開発者がHTMLやCSS、JavaScript、Pythonなどのコードを直接記述しながらシステムを作っていくのが一般的でした。
一方、バイブコーディングでは、「どのようなものを作りたいのか」「どこを改善したいのか」といった要望を自然言語でAIに伝え、AIが実装を進めます。
人間はコードを一行ずつ書くことよりも、完成した画面や動作を確認しながら、AIに追加の指示を出して改善していくことが中心になります。
ただし、AIを使ってコードを書けば、すべてがバイブコーディングになるわけではありません。
一般的なAIコーディング支援では、人間がコードを確認しながら部分的にAIを利用する場合もあります。
バイブコーディングでは、より自然言語による指示を中心にして、AIに実装や修正を任せながら開発を進める点が特徴です。
バイブコーディングの具体例
Webサイトを作る
バイブコーディングの分かりやすい具体例が、Webサイト制作です。
たとえば、カフェの公式Webサイトを作りたい場合、AIに次のような指示を出します。
「カフェの公式サイトを作ってください。店舗紹介、メニュー、営業時間、アクセス、問い合わせフォームを掲載してください。」
すると、AIがHTMLやCSS、JavaScriptなどを使ってWebサイトのコードを生成します。
生成されたWebサイトを実際に確認し、イメージと違う部分があれば追加で指示します。
たとえば、「ヘッダーをもっとシンプルにしてください」「メニューをカード形式にしてください」「スマートフォンでは1列表示にしてください」といった形です。
従来であれば、どのCSSを変更するのかを自分で探して修正する必要があります。
バイブコーディングでは、変更したい結果をAIに伝え、実装方法そのものはAIに任せることができます。
ToDoアプリを作る
ToDoアプリの制作も、バイブコーディングの代表的な具体例です。
最初にAIへ、「ブラウザで使えるToDoアプリを作ってください。タスクの追加、完了、削除ができるようにしてください」と指示します。
AIが最初のアプリを生成したら、実際に動作を確認します。
その後、「完了したタスクには取り消し線を付けてください」「タスクを今日・明日・今週で分類できるようにしてください」「ブラウザを閉じてもデータが残るようにしてください」などと追加で指示します。
さらに、「ダークモードを追加してください」「重要なタスクを上に表示してください」といった機能を追加することも可能です。
このように、最初からすべての仕様を決めるのではなく、動くものを確認しながら少しずつ改善していくのがバイブコーディングの特徴です。
売上管理ダッシュボードを作る
バイブコーディングは、売上管理やデータ分析用のダッシュボード制作にも利用できます。
たとえば、「CSV形式の売上データを読み込んで、月別売上、商品別売上、前年同月比をグラフ表示するダッシュボードを作ってください」とAIに指示します。
AIがダッシュボードを作成したら、実際の画面を見ながら修正していきます。
「売上金額が高い順に並べてください」「前年比がマイナスの場合は分かりやすく表示してください」「期間を指定できるようにしてください」「CSVファイルをドラッグ&ドロップできるようにしてください」といった指示を追加できます。
Webマーケティングや営業、経営管理などで利用する小規模な分析ツールを短期間で試作したい場合にも活用しやすい方法です。
SEOチェックツールを作る
Webマーケティング業務で使う簡単なSEOツールも、バイブコーディングで作成できます。
たとえば、「SEOタイトルとメタディスクリプションを入力すると、文字数をリアルタイムで表示するWebツールを作ってください」とAIに指示します。
完成したツールを確認したうえで、「タイトルが一定の文字数を超えた場合に注意を表示してください」「入力内容をワンクリックでコピーできるようにしてください」「スマートフォンでも使いやすいデザインにしてください」と改善していきます。
さらに機能を追加すれば、URLを入力するとタイトルやmeta descriptionを取得して一覧表示するSEOチェックツールのようなものも作れます。
このような日常業務で利用する小規模ツールは、バイブコーディングと相性の良い用途のひとつです。
SNS投稿管理ツールを作る
SNSマーケティングで使用する投稿管理ツールを作ることもできます。
たとえば、「SNSの投稿文、投稿予定日、SNSの種類、投稿状況を管理できるツールを作ってください」とAIに指示します。
その後、「X、Instagram、Facebookごとに絞り込めるようにしてください」「投稿予定日が近い順に並べてください」「カレンダー形式でも確認できるようにしてください」と追加します。
さらに、「投稿済みのコンテンツは色を変えてください」「投稿予定日を過ぎたものには警告を表示してください」といった改善も可能です。
完成した画面を見ながら機能を追加していくため、最初から複雑な仕様書を作らなくても試作品を作りやすいという特徴があります。
問い合わせフォームを作る
企業サイトやサービスサイトで利用する問い合わせフォームも、比較的簡単なバイブコーディングの例です。
最初に、「名前、メールアドレス、問い合わせ内容を入力できる問い合わせフォームを作ってください」と指示します。
生成されたフォームを確認しながら、「必須項目を設定してください」「メールアドレスの形式をチェックしてください」「送信前に確認画面を表示してください」「送信後に完了メッセージを表示してください」と機能を追加していきます。
従来であれば入力チェックやエラー表示などを自分で実装する必要がありますが、バイブコーディングでは実現したい動作をAIへ伝えながら開発を進めることができます。
社内用の業務ツールを作る
バイブコーディングは、一般公開するサービスだけでなく、社内業務を効率化するためのツール作成にも活用できます。
たとえば、「案件名、担当者、締切、進捗状況を管理できる案件管理ツールを作ってください」とAIに指示します。
ツールが完成したら、「締切を過ぎた案件を分かりやすくしてください」「担当者ごとに案件を絞り込めるようにしてください」「CSV形式で出力できるようにしてください」といった修正を依頼します。
さらに、「完了した案件は別の画面に移動してください」「案件数を担当者別にグラフ表示してください」といった機能を加えることもできます。
社内だけで使用する小規模な業務ツールであれば、必要な機能を追加しながら短期間で形にしやすい点がメリットです。
SaaSのプロトタイプを作る
バイブコーディングを利用して、小規模なSaaSのプロトタイプを作ることも可能です。
たとえば、「URLを入力するとページタイトルとmeta descriptionを取得して一覧表示するSEOツールを作ってください」と指示します。
基本機能が完成したら、「複数URLをまとめてチェックできるようにしてください」「結果をCSVでダウンロードできるようにしてください」「ログイン機能を追加してください」「過去の分析履歴を保存してください」と機能を追加します。
このように少しずつ機能を増やしていくことで、アイデア段階だったサービスを実際に操作できるプロトタイプへ発展させることができます。
新規サービスのMVPを検討する場合にも、バイブコーディングは活用しやすい方法です。
エラー修正もバイブコーディングで行える
エラーメッセージをAIに渡す
バイブコーディングでは、プログラムにエラーが発生した場合もAIに修正を依頼できます。
たとえば、アプリを実行したときにエラーメッセージが表示されたとします。
従来の開発では、開発者自身がエラーの発生箇所を調査し、原因となっているコードを探して修正する必要があります。
バイブコーディングでは、エラーメッセージや発生している状況をAIへ伝えます。
「このエラーが表示されています。原因を調べて修正してください」と指示し、AIにコードを変更してもらいます。
修正後も問題が解決していなければ、「まだ同じエラーが出ます」「今度は画面が表示されなくなりました」と結果を伝えます。
このやり取りを繰り返して問題を解決していく方法も、バイブコーディングらしい進め方のひとつです。
コードではなく結果を伝えて修正する
必ずしもエラーメッセージが表示されるとは限りません。
たとえば、「スマートフォンで表示するとボタンが画面からはみ出します」「フォームを送信しても何も表示されません」「CSVをアップロードすると画面が止まります」といった現象をAIへ伝える方法もあります。
人間が原因となるコードを特定するのではなく、現在起きている現象を伝え、AIに原因の調査と修正を任せます。
こうした開発方法は、コードそのものよりも完成した動作を確認しながら開発を進めるバイブコーディングの特徴を分かりやすく表しています。
バイブコーディングの基本的な流れ
作りたいものを自然言語で伝える
最初に、どのようなWebサイトやアプリ、ツールを作りたいのかをAIへ伝えます。
たとえば、「売上をグラフ表示するダッシュボードを作ってください」といった指示です。
必ずしも最初から細かい仕様をすべて伝える必要はありません。
AIがプログラムを生成する
指示された内容をもとに、AIが必要なコードを生成します。
利用するAIツールによっては、コードの生成だけでなく、ファイルの作成やアプリの実行まで行える場合があります。
実際に動かして確認する
生成されたWebサイトやアプリを実際に操作します。
画面のデザインや操作性、機能などを確認し、イメージどおりになっているかを判断します。
問題点をAIに伝える
改善したい部分があれば、自然言語でAIへ伝えます。
たとえば、「グラフが小さくて見づらいです」「スマートフォンのレイアウトを改善してください」「検索機能を追加してください」といった指示です。
AIが修正する
AIが指示をもとにコードを変更します。
修正後のアプリを再び実行し、結果を確認します。
問題が残っていれば、さらに修正を依頼します。
この「指示→生成→実行→確認→修正」という流れを繰り返して完成度を高めていきます。
従来のプログラミングとの違い
従来はコードを直接編集する
従来のプログラミングでは、たとえばWebサイトのボタンを変更したい場合、HTMLやCSSの該当箇所を探し、自分でコードを変更します。
ボタンの色を変えたい場合であれば、CSSの背景色を指定している部分を編集します。
そのため、ある程度のプログラミング知識が必要になります。
バイブコーディングは結果を自然言語で指示する
バイブコーディングでは、「送信ボタンを青色にしてください」とAIへ伝えます。
さらに、「もう少し落ち着いた青色にしてください」「マウスを乗せたときだけ少し暗くしてください」といった調整も自然言語で行えます。
つまり、人間が具体的なコードの書き方を指定するのではなく、どのような状態にしたいのかを伝えることが中心になります。
バイブコーディングとAIコーディング支援の違い
AIを使うだけではバイブコーディングとは限らない
AIを利用したプログラミングにはさまざまな方法があります。
たとえば、プログラマーが自分でコードを書きながら、AIに一部のコードを補完してもらう方法もあります。
コードレビューだけAIに依頼する使い方もあります。
こうした方法まで、すべてをバイブコーディングと呼ぶのは適切とは限りません。
バイブコーディングでは自然言語によるやり取りが中心になる
バイブコーディングでは、人間がコードを細かく編集するよりも、AIとの自然言語によるやり取りを中心に開発を進めます。
「これを作ってください」「ここを直してください」「この機能を追加してください」と指示し、AIが実装します。
生成された結果を確認して、再び指示するというサイクルが中心になる点が特徴です。
なお、「バイブコーディング」という言葉には、厳密に統一された定義があるわけではありません。
そのため、実際にはAI支援開発やAIエージェントを利用した開発と重なる部分もあります。
記事で説明する場合は、「自然言語中心でAIに実装や修正を任せながら、結果を確認して開発を進める方法」と捉えると分かりやすいでしょう。
バイブコーディングに向いているもの
WebサイトやLPの試作
Webサイトやランディングページの試作は、比較的バイブコーディングに向いています。
デザインやレイアウトを実際に確認しながら、「もっとシンプルにしてください」「CTAを目立たせてください」と調整できるからです。
小規模なWebアプリ
ToDoアプリや予約管理ツール、簡単な計算ツールなどの小規模なWebアプリも作成しやすい分野です。
まず最低限の機能を作り、必要に応じて機能を追加していくことができます。
社内業務ツール
案件管理、データ整理、CSV変換、レポート作成など、特定の業務を効率化するための社内ツールにも利用できます。
市販のシステムを導入するほどではない小さな課題を解決する際に活用しやすいでしょう。
SaaSや新規サービスのMVP
新しいWebサービスのアイデアを検証するためのMVP作成にも利用できます。
最初から大規模なサービスを開発するのではなく、最低限の機能だけを実装し、実際に操作できる状態にすることでアイデアを検証しやすくなります。
バイブコーディングを利用する際の注意点
AIが生成したコードが必ず正しいとは限らない
バイブコーディングでは短時間で多くのコードを生成できますが、AIが作ったコードに問題がないとは限りません。
プログラムが一見正常に動いていても、特定の条件でエラーが発生したり、想定していない動作をしたりする可能性があります。
そのため、本格的に利用する場合はテストが重要です。
セキュリティの確認が必要になる
ログイン機能や個人情報、決済機能などを扱うサービスでは、セキュリティの確認も必要です。
AIが生成したコードに脆弱性が含まれている可能性もあるため、生成されたコードをそのまま本番環境で利用するのは避けたほうがよい場合があります。
特に外部公開するサービスでは、専門知識を持った開発者によるコードレビューやセキュリティチェックが重要になります。
大規模なシステムでは設計も重要になる
小規模なツールやプロトタイプでは、自然言語による試行錯誤だけでも開発できる場合があります。
しかし、大規模なシステムでは、データベース設計、システム構成、保守性、性能、権限管理なども考える必要があります。
そのため、バイブコーディングだけですべてを解決しようとするのではなく、必要に応じて従来のソフトウェア開発の手法と組み合わせることが重要です。
バイブコーディングの具体例を簡単に表すと
バイブコーディングの流れを簡単に表すと、次のようになります。
「売上CSVを読み込んでグラフ表示するWebアプリを作ってください」
↓
AIがWebアプリを生成する
↓
「棒グラフにしてください」
↓
AIがコードを修正する
↓
「月ごとに表示を切り替えられるようにしてください」
↓
AIが機能を追加する
↓
「スマートフォンだとレイアウトが崩れています」
↓
AIがレスポンシブ対応を修正する
↓
「CSVを読み込むとエラーが出るので直してください」
↓
AIが原因を確認して修正する
このように、完成した結果を確認しながら自然言語でAIに修正を依頼し、少しずつ完成形へ近づけていくのが典型的なバイブコーディングの例です。
バイブコーディングでは人間の役割も重要
バイブコーディングではAIがコードを書く割合が増えますが、人間の役割がなくなるわけではありません。
何を作るのかを決めること、生成されたものが目的に合っているか確認すること、問題点を見つけること、必要な改善を判断することなどは人間が行います。
特に本番サービスでは、動作確認、セキュリティ、品質管理なども重要です。
そのため、バイブコーディングは「AIにすべてを丸投げする方法」というよりも、自然言語による指示を中心にAIへ実装を任せ、人間が結果を確認しながら完成度を高めていく開発スタイルと考えると分かりやすいでしょう。
以上、バイブコーディングの具体例についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
