生成AIの日本での普及率について

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生成AI(ChatGPT など)の話題は、日本でも日常的に目にするようになりました。

一方で「実際にどれくらい普及しているのか?」という問いに対しては、調査ごとに数字が異なり、誤解されやすい状況が続いています。

本記事では、国内で参照される主要な公的・民間調査を踏まえ、「個人」「企業」「活用の成熟度」という3つの視点から、日本における生成AIの普及率を整理します。

目次

個人における生成AIの普及率

「使ったことがある人」は約3割弱まで拡大

総務省「情報通信白書(令和7年版)」で引用されている調査によると、日本において生成AIを「利用したことがある」個人の割合は 26.7%とされています。

これは、前年にあたる調査(約 9.1%)から1年で約3倍に増加しており、生成AIが一気に一般層へ広がったことを示しています。

ただし、この数値はあくまで 「利用経験があるかどうか」 を問うものであり、以下の点には注意が必要です。

  • 日常的に使っているかどうかは問われていない
  • 業務で継続的に活用している層は、この数字より少ない
  • 「一度試しただけ」の人も含まれる

つまり、日本では「生成AIに触れたことがある人は急増したが、定着利用はまだ限定的」という段階にあると整理できます。

なお、年代別に見ると20代などの若年層で利用経験が高い傾向が見られ、今後は世代交代とともに個人利用率がさらに上昇する可能性が高いと考えられます。

企業における生成AIの普及率

導入率はすでに「過半」に到達

導入済み企業の割合

民間調査の中でも継続性が高い野村総合研究所(NRI)の調査によると、生成AIを「すでに導入している」と回答した企業は 57.7% に達しています。

さらに、

  • 「導入済み」
  • 「導入を検討中」

を合計すると、全体の 76% にのぼります。

これは、日本企業の多くが「生成AIを無視できない技術として認識し、何らかの形で関与し始めている」段階に入ったことを示しています。


企業規模による大きな差

一方で、企業規模別に見ると普及状況には明確な格差があります。

IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2024」によると、

  • 従業員1,001人以上の企業
    • 導入・試験利用・検討・予定の合計:93.2%
  • 従業員100人以下の企業
    • 導入・試験利用の合計:13.4%

という結果が示されています。

このデータから分かるのは、日本全体の普及率が高く見える背景には、大企業による先行導入が強く影響しているという事実です。

中小企業では、コスト・人材・セキュリティ・運用ルールといった壁が高く、「興味はあるが、まだ本格導入には至っていない」という状態が続いています。

「普及率」とは別に見るべき指標

活用方針・ガバナンスの整備状況

生成AIの普及を語る際に見落とされがちなのが、「組織としてどう使うかを定めているか」という視点です。

活用方針を定めている企業の割合

情報通信白書系の整理では、

  • 前年度:活用方針を定めている企業 42.7%
  • 最新年度(令和7年版の整理)49.7%

約半数の企業が何らかの方針を定める段階に進んでいます。

ここで重要なのは、

  • ツールを個人が勝手に使っている状態
  • 組織としてルール・範囲・禁止事項を定めている状態

は、まったく別の成熟段階だという点です。

日本企業では「導入はしたが、全社ルールが未整備」というケースも多く、この“ガバナンス整備の遅れ”が活用の伸び悩みに直結していると考えられます。

「普及しているのに成果が出にくい」理由

日本特有の課題

国際比較調査(PwCの5カ国比較など)では、日本について次のような傾向が指摘されています。

  • 導入・検討の割合は国際的に見て平均的
  • しかし「期待以上の成果が出ている」と答える企業の割合は低め

その背景として、以下の課題が挙げられます。

  • 社員の生成AIリテラシー不足
  • 業務プロセス自体が整理されていない
  • 「使ってはいけないリスク」への過度な懸念
  • PoC(試験利用)で止まり、本番運用に進めない

実際、NRI調査でも「リテラシー・スキル不足」を課題に挙げる企業が 70.3%と最も多く、“普及の次の段階=使いこなし”で詰まっている状況が浮き彫りになっています。

まとめ:日本の生成AI普及率を正しく読むために

最後に、数字を誤解なく読むための整理です。

  • 個人
    • 利用経験あり:約 26.7%
    • → 「触ったことがある人」が急増した段階
  • 企業(導入)
    • 導入済み:約 57.7%
    • 導入+検討:約 76%
    • → 技術としては“標準装備候補”に入った段階
  • 企業(成熟度)
    • 活用方針を定めている:約 49.7%
    • → 半数はまだ手探り
  • 実態
    • 大企業が先行
    • 中小企業は導入初期
    • 成果創出はこれからが本番

つまり、日本の生成AIは「普及していない」のではなく、「普及フェーズが分断されている」と表現するのが最も実態に近いと言えるでしょう。

以上、生成AIの日本での普及率についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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