C++において「配列の代入」は、言語仕様を正しく理解していないと誤解しやすいテーマです。
特に、他の変数型と同じ感覚で扱おうとすると、コンパイルエラーや意図しない挙動に直結します。
まず重要なのは、C++の組み込み配列は代入演算子を持たないという点です。
配列はオブジェクトではありますが、代入という操作が言語仕様として定義されていません。
そのため、ある配列の内容を別の配列に「丸ごと代入する」ことはできません。
ここで混同されやすいのが「初期化」と「代入」の違いです。
配列は宣言時に限って初期化が可能ですが、これは代入とは別の仕組みです。
一度生成された配列に対して、後から別の配列の内容を代入することは許されていません。
配列をコピーしたい場合の基本的な考え方
配列全体を直接代入できない以上、配列の中身をコピーするには要素単位で処理する必要があります。
これはC++における基本原則であり、組み込み配列を使う限り避けられません。
このとき、コピーは「値のコピー」であり、配列のアドレスを渡すこととはまったく別物です。
配列名は多くの場面で先頭要素へのポインタに変換されますが、それはあくまで一時的な暗黙変換であって、配列そのものがポインタになるわけではありません。
配列とポインタが混同されがちなのはこのためですが、両者は明確に異なる型であり、サイズ情報の扱いなどに決定的な違いがあります。
関数引数における配列の扱い
関数の引数として配列を受け取る場合、表記上は配列のように見えても、実際にはポインタとして扱われます。
これはC++の言語仕様による「型の調整」であり、関数側では配列のサイズ情報を保持できません。
そのため、関数内で配列の長さを自動的に判別できると考えるのは誤りです。
サイズ管理は呼び出し側が責任を持つか、別の安全な仕組みを使う必要があります。
低レベルコピーに関する注意点
メモリ単位でのコピーは高速ですが、すべての型に対して安全ではありません。
現代C++では「単純にビット列をコピーしても問題ない型」にのみ限定して使うべき手法とされています。
オブジェクトのライフタイムや内部構造を無視するコピーは、未定義動作を引き起こす可能性があります。
したがって、低レベルなコピーは「安全性を理解した上で、必要な場合のみ使うもの」であり、汎用的な配列コピーの手段とは考えるべきではありません。
代入可能な配列が必要な場合
もし「配列のように使えて、なおかつ代入したい」という要件があるなら、組み込み配列を選ぶ理由はほぼありません。
固定長であれば、安全に代入可能な配列型が用意されていますし、サイズが可変であれば動的配列コンテナを使うのが現代C++の標準的な選択です。
これらは代入時に要素ごとのコピーを正しく行い、サイズやメモリ管理も自動で処理されます。
よくある誤解の整理
- 配列はオブジェクトであるが、代入演算子は持たない
- 配列とポインタは別物であり、暗黙変換があるだけ
- 関数に配列を渡してもサイズ情報は保持されない
- 初期化と代入はまったく異なる概念
これらを正しく区別できるかどうかが、C++の配列を安全に扱えるかどうかの分かれ目になります。
まとめ
C++の組み込み配列は、低レベルで制御しやすい反面、言語機能としては非常に制限が多い存在です。
代入ができないことは欠点ではなく、C言語由来の設計思想をそのまま引き継いだ結果です。
現代的なC++では、「配列を使う理由」を明確にしたうえで選択することが重要であり、単に値をまとめて扱いたいのであれば、より安全で表現力の高い仕組みを使うのが合理的です。
以上、C++の配列の代入についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
