C++の重複削除のやり方について

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C++で「重複を削除する」と一言で言っても、実際には複数の意味と方法が存在します。

多くの混乱は、「どの重複を」「どの条件で」「どの順序を維持して」削除したいのかが曖昧なまま実装に入ってしまうことから生じます。

まず重要なのは、C++標準ライブラリは「重複削除」という単一の機能を直接提供していないという点です。

代わりにいくつかのアルゴリズムやコンテナの性質を組み合わせて目的を達成します。

目次

「重複削除」には主に4つのパターンがある

実務でよく使われる重複削除は、次の4パターンに分類できます。

  1. すべての重複を削除し、順序は気にしない
  2. 連続して並んでいる重複だけを削除する
  3. 元の出現順を保ったまま重複を削除する
  4. 順序よりも速度や簡潔さを優先する

これらは互いに似ているようで、内部的な処理や前提条件がまったく異なります

間違った方法を選ぶと、意図しない結果になることが少なくありません。

ソートを前提とした重複削除(最も一般的な方法)

最も広く使われている方法は、一度並び替えたうえで重複を整理するという考え方です。

この方法では、同じ値が必ず隣り合う状態になるため、「隣接する等しい要素」をまとめて扱う処理が有効になります。

このアプローチは以下の特徴を持ちます。

  • すべての重複を確実に削除できる
  • 処理が単純で可読性が高い
  • 実測性能が安定しているケースが多い

一方で、元の順序は完全に失われるため、順序に意味があるデータには不向きです。

「連続する重複」だけを削除する場合の考え方

場合によっては、「同じ値が続いている箇所だけをまとめたい」という要件もあります。

例えばログや時系列データでは、「同じ状態が続いた区間」を圧縮したいケースがあります。

この場合は、並び替えを行わず、現在の順序のまま処理します。

重要なのは、この方法では 離れた位置にある同じ値は重複とみなされない という点です。

あくまで「隣り合っているかどうか」だけが判断基準になります。

元の順序を保ったまま重複を削除する場合

「最初に出てきたものだけを残したい」「出現順そのものに意味がある」という要件は非常に多く、この場合は前述のソートを使う方法は使えません。

このアプローチでは、「すでに見た値かどうか」を記録しながら走査します。

初めて登場した値だけを結果に残し、二度目以降は無視する、という考え方です。

この方法の特徴は次の通りです。

  • 元の順序を完全に維持できる
  • 要素数が多くても平均的には高速
  • 追加の記憶領域を使用する

なお、ハッシュを用いた管理は平均的には効率的ですが、理論上は最悪ケースで性能が大きく低下する可能性があります。

実務ではほとんど問題になりませんが、「必ず一定時間以内に終わる」ことが求められる場面では注意が必要です。

順序を気にしない場合の考え方

順序がどうでもよいのであれば、実装はさらにシンプルになります。

代表的なのは、「集合」の性質を利用する方法です。

同じ値は一つしか保持されないため、結果として重複が除去されます。

ただし、この場合の並び順は意図的に保証されないため、結果の順序に意味を持たせることはできません。

構造体やクラスの重複削除で注意すべき点

数値や文字列と違い、構造体やクラスでは「何をもって同一とするか」を明確に定義する必要があります。

例えば、「IDが同じなら重複」「すべてのメンバが一致したら重複」など、同一性の定義が曖昧なままでは正しい重複削除はできません

また、並び替えを伴う方法では、

  • どの要素が残るのか
  • 元の順序が維持されるのか

といった点がソートの性質に依存します。

特に安定性(同じキーの要素の相対順序)が必要な場合は、使用するアルゴリズムに注意が必要です。

浮動小数点数の重複削除に潜む危険性

浮動小数点数では、「完全に等しいかどうか」ではなく「十分に近いかどうか」で判断したくなる場面があります。

しかし、「差がある閾値以内なら同じ」とする判定は、数学的に同値関係にならないことがあります。

このため、処理の順序によって結果が変わる、直感と合わない挙動になる、といった問題が発生し得ます。

厳密性が求められる場合は、値を丸めてから比較するなど、より安定した基準を設ける必要があります。

よくある誤解と落とし穴

C++の重複削除で特に多い誤解は次の通りです。

  • 重複削除用の関数を呼べば、自動的に要素数が減ると思っている
  • 並び替えなしですべての重複が消えると思っている
  • 順序が保持されるかどうかを意識していない
  • 浮動小数点の比較を安易に行っている

これらはいずれも、アルゴリズムの前提条件を理解していないことが原因です。

まとめ:重複削除は「目的を言語化」してから選ぶ

C++で重複を削除する際に最も重要なのは、「どの重複を、どんな条件で、どんな順序で残したいのか」 を先に明確にすることです。

そのうえで、

  • 並び替えてもよいのか
  • 順序を維持する必要があるのか
  • 性能・メモリ・安全性のどれを優先するのか

を判断すれば、適切な方法は自然に決まります。

以上、C++の重複削除のやり方についてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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