人工知能(AI)は、その能力レベルと実現方法(技術的アプローチ)の2つの視点から整理するのが分かりやすいです。
以下では、この二軸に沿って詳しく解説します。
目次
知能レベルの軸(何ができるか)
弱いAI(ANI: Artificial Narrow Intelligence)
- 特定のタスクに特化したAI。
- 例:翻訳アプリ、顔認識、自動運転支援、囲碁や将棋のAI。
- 高性能だが応用範囲は限定的。
- 現行のAIや大規模言語モデル(ChatGPTなど)も基本的にこの範囲。
汎用AI(AGI: Artificial General Intelligence)
- 人間のように幅広い分野で知識を学び、応用・推論できるAI。
- ある分野で得た知見を別の分野に転用できる「柔軟性」が鍵。
- 未到達の領域であり、到来時期については「数年以内」から「数十年先」「実現は難しい」と意見が割れている。
超知能(ASI: Artificial Superintelligence)
- あらゆる知的活動において人間を凌駕するAI。
- 科学技術の進展や社会課題解決の可能性がある一方で、人間が制御できないリスクも指摘される。
- まだ理論上の存在にとどまる。
技術・手法の軸(どう実現するか)
AIの発展は技術的アプローチの進化としても整理できます。
- 記号主義(ルールベース)
- 明示的なルールや知識表現に基づき動作。
- 初期のAI手法だが、現在も安全制御やドメイン制約で活用される。
- 機械学習(ML)
- データからパターンを学習。教師あり・教師なしの両方が存在。
- ディープラーニング(DL)
- 多層のニューラルネットワークを用い、画像認識・音声認識・自然言語処理などで主流に。
- ChatGPTのような大規模言語モデルもこの枠組みに含まれる。
- 自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)
- ラベルなしデータから特徴を抽出。
- LLMの事前学習に広く用いられている。
- 強化学習(Reinforcement Learning)
- 環境との相互作用から「報酬」を基準に学習。
- ゲームAIやロボティクス、さらにChatGPTのRLHF(人間のフィードバックによる学習)にも応用される。
- 人間フィードバック・模倣学習
- 人間のデモンストレーションや評価を利用し、モデルを改善。
- 外部資源との連携(ツール使用・エージェント化)
- 計算機や検索エンジン、長期メモリを組み合わせ、能力を拡張。
- 汎用性の幅を広げる方向性として注目されている。
まとめ
- AIは「能力レベルの軸(ANI → AGI → ASI)」と「技術・手法の軸(ルールベース → ML → DL → RL…)」の二軸で整理すると理解しやすい。
- 現在主流なのはANIであり、ChatGPTを含む大規模言語モデルもこの範囲。ただし、外部ツールや人間フィードバックとの組み合わせで汎用性は拡大している。
- AGIは未到達で、到来時期は不確実。
- ASIは理論上の存在だが、人類にとっての最大のインパクトを持つ可能性がある。
以上、人工知能のレベルと段階についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。