生成AIのネガティブプロンプトについて

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ネガティブプロンプトの正確な位置づけ

ネガティブプロンプト(Negative Prompt)とは、生成AIに対して「出力に含めてほしくない要素」を指定する指示です。

この概念は特に画像生成AI(拡散モデル系)で一般的で、多くのツールでは「Negative Prompt」専用の入力欄が用意されています。

  • ポジティブプロンプト
    → 生成してほしい内容・方向性
  • ネガティブプロンプト
    → 生成を避けたい要素・失敗パターン

両者を併用することで、生成結果の破綻・ノイズ・意図しない混入要素を抑え、再現性を高められます。

※文章生成や音声生成でも「避けてほしい要素」を指示することは可能ですが、「ネガティブプロンプト」という用語・UIが標準化しているのは主に画像生成分野です。

なぜネガティブプロンプトが必要なのか

AIは曖昧な部分を“補完”しようとする

画像生成AIは、プロンプトで指定されていない部分を学習データ上で“ありがちな形”に補完する傾向があります。

その結果、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 指や手の本数が崩れる
  • 顔や体の構造が歪む
  • 意図しない文字や模様が入る
  • 余計なオブジェクトが追加される

ネガティブプロンプトは、こうしたAI特有の失敗パターンを事前に抑制するための制御手段です。

品質と安定性が大きく変わる

同じポジティブプロンプトでも、ネガティブプロンプトの有無によって

  • 出力の安定性
  • 破綻率
  • 商用利用に耐えるかどうか

が大きく変わります。

特にWeb素材、広告、SNS投稿用画像など再現性が求められる用途ではほぼ必須と言えます。

画像生成でよく使われるネガティブプロンプト例

全体品質を安定させるための基本例

以下は、多くのモデルで比較的安全に使われやすい要素です。

blurry
lowres
jpeg artifacts
noise

抽象的な否定語(bad / ugly など)も効く場合はありますが、再現性は低いため、具体的な問題語の方が安定しやすい傾向があります。

人物・ポートレート生成での代表例

人物生成では、特に「手・指・体の構造」が破綻しやすいため、以下がよく使われます。

bad hands
extra fingers
missing fingers
extra arms
extra legs
deformed

これらは「起きやすい失敗」をピンポイントで避ける目的の指定です。

作風・スタイルの混在を防ぐ

狙っているスタイルと混ざってほしくない表現を除外する考え方です。

  • アニメ調を狙う場合photorealistic realistic 3d render
  • 写実調を狙う場合anime style cartoon illustration

重要なのは、「目指すスタイルの反対方向」を明確に排除することです。

商用・Web素材向けの注意点

商用用途では、意図しない文字や記号の混入を避けたいケースが多いため、次のような指定が使われます。

text
watermark
logo
signature

これは「既存画像の透かしを消す」という意味ではなく、生成物に不要な文字や記号が出ないようにするための指定です。

ネガティブプロンプトの書き方の基本原則

具体語を使う

  • × bad
  • ○ blurry / bad anatomy / extra fingers

具体的な問題点を直接指定したほうが、モデルが解釈しやすくなります。

最初から入れすぎない

ネガティブプロンプトを過剰にすると、

  • 表現が無難になりすぎる
  • 情報量が減る
  • モデルの持ち味が消える

といった副作用が出ることがあります。

「問題が出やすい要素だけを最小限で」が基本です。

出力を見ながら調整する

ネガティブプロンプトは一度で完成させるものではありません。

  1. まず最小構成で生成
  2. 出た問題を観察
  3. 必要な語だけを追加

という反復調整が最も安定します。

重み付け(Weight)についての注意点

一部の環境では、ネガティブプロンプトにも強弱を付けられます。

(blurry:1.5)
(low quality:2.0)

ただし、

  • 記法
  • 対応可否
  • 効き方

使用しているUIや生成環境に強く依存します。

必ず自分の環境に合った仕様を前提に使う必要があります。

実務での考え方まとめ

  • ネガティブプロンプトは「保険」ではなく制御設計の一部
  • テンプレは万能ではなく、モデル・用途で効き方が変わる
  • 抽象語より具体語の方が再現性が高い
  • 最小構成 → 出力確認 → 追加、が最も堅実

実務向けミニマム例(汎用)

まず試すなら、以下程度から始めるのが無難です。

  • 文字混入を避けたいtext, watermark, logo, signature
  • 人物生成の事故を減らしたいbad hands, extra fingers, missing fingers, deformed
  • 全体の破綻を軽く抑えたいblurry, lowres, jpeg artifacts

以上、生成AIのネガティブプロンプトについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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