機械学習のLDAについて

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LDAは、大量のテキストデータから「隠れた話題(トピック)」を自動的に抽出するための手法です。

文章を人間が読まなくても、どの文書がどのようなテーマで構成されているかを推定する能力を持ち、自然言語処理の分野で長く利用されてきました。

LDAが採用している基本的な考え方は次のようなものです。

  • 文書は複数の話題が混ざり合ってできている
  • 話題とは「特定の単語が出やすい傾向」で表せる
  • 文書ごとに「どの話題がどれくらい含まれるか」が異なる

この単純な発想をベースに、文章全体に潜む抽象的なテーマ構造を推定します。

目次

LDAが想定する文章の“生成プロセス”

LDAは「文書がどのように作られたのか」という裏側の仕組みを仮定し、その仕組みを逆算するモデルです。

その過程は次のように説明できます。

  • 文書ごとに、含まれる話題の割合が決まる
    文書によって、特定の話題が多かったり少なかったりします。
  • 文章内の各単語が、どの話題に属するかが選ばれる
    一つひとつの単語は、文書の話題構成に応じて、どれか一つの話題に割り当てられます。
  • 割り当てられた話題に特徴的な単語が選ばれ、文章が形成される

この想定されたプロセスを前提に、現実の文章データから「話題の割合」「話題ごとの単語の特徴」を推定するのがLDAです。

LDAが推定する主要な情報

LDAが最終的に求めるものは、大きく2種類あります。

各トピックに特徴的な単語の集合

ある話題がどのような単語を多く含むかが分かります。

たとえば「研究・観測・宇宙」といった単語が集まれば、その話題は“科学”と解釈できるでしょう。

文書ごとのトピック構成比率

文書Aが「話題1が多く、話題2がややあり、話題3はほとんどない」など、文書内容の構造が明らかになります。

これらが得られることで、無数の文書に潜むテーマの全体像を把握することが可能になります。

トピック推定の仕組み ― どのように逆算するのか

実際には、LDAは文書内の単語を何度も見直しながら、次のような判断を反復していきます。

  • この単語は、どの話題に属すると自然か
  • 文書全体の傾向からみて、その割り当ては妥当か
  • その話題において、この単語はどれほど典型的か

この反復処理により、単語ごとの話題割り当てが徐々に安定し、文書全体の話題構造が推定されます。

代表的な推論手法には、以下のようなものがあります。

ギブスサンプリング

単語ごとの話題割り当てを、一つずつ交互に更新しながら最適な構造に近づける方法。

変分ベイズ法

本来の複雑な分布を、扱いやすい近似モデルで置き換え、その近似を最適化する方法。

大規模データに適した手法としてよく使われます。

LDAの長所

大量の文書をテーマごとに整理できる

文章集合の“構造”が自然に見えてくるため、未知のデータ内容を効率的に理解できます。

ラベル(教師データ)が不要

事前に分類情報を準備する必要がありません。

解釈しやすい

話題は「単語の出やすさ」という形で表現されるため、人間が理解しやすい特徴を持ちます。

LDAの短所・限界

文脈を理解できない

単語の並びや文法を考慮しないため、文脈に依存する意味の違いには弱い傾向があります。

トピック数を事前に設定する必要がある

話題数の選び方によって、分析結果が大きく変わります。

単語の多義性を扱いにくい

「同じ単語でも文脈により意味が違う」というケースに弱い面があります。

深い意味理解が必要な場面では近年の言語モデルに劣る

BERTなどの文脈表現モデルと比較すると、文章の意味の捉え方に限界があります。

まとめ

LDAは、

  • 文書を複数の話題が混ざり合ったものとみなし
  • 話題を「単語の出やすい傾向」として表現し
  • 文書ごとに話題の割合を推定する

という発想にもとづく、古典的でありながら強力なトピックモデルです。

一方で、文脈理解の不足やトピック数の設定の難しさなどの弱点もあるため、現在では用途に応じて他手法と併用されることも多くなっています。

以上、機械学習のLDAについてでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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