CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)は、画像や映像のように空間構造を持つデータを扱うために設計された深層学習モデルです。
画像認識、画像分類、物体検出、セグメンテーションなどの分野において、長年にわたり中核技術として利用されています。
CNNの大きな特徴は、画像を単なる数値の集合として処理するのではなく、「近くにある画素同士は意味的に関連している」という前提を、モデル構造そのものに組み込んでいる点にあります。
なぜCNNは画像認識に適しているのか
全結合型ニューラルネットワークで画像を処理しようとすると、次のような課題が生じます。
- 入力次元が非常に大きくなり、パラメータ数が膨大になります
- 画素の位置関係が失われやすくなります
- 過学習しやすく、計算コストも高くなります
CNNでは、「局所受容野」と「重み共有」という2つの考え方を採用することで、これらの問題を解決しています。
その結果、画像の局所的な特徴を効率よく学習し、それを画像全体へ一般化することが可能になります。
畳み込み処理の役割
畳み込み層では、小さなフィルタを画像全体に適用し、特徴マップを生成します。
このフィルタは学習によって最適化され、画像中の特定のパターンに強く反応するようになります。
例えば、次のような特徴が学習されます。
- 明暗の変化や境界
- 特定方向の線
- 模様やテクスチャ
- 色の変化パターン
同じフィルタが画像のどの位置でも使われるため、特徴の位置が変わっても検出できるという性質が得られます。
また、パラメータ数を大幅に削減できる点も重要な利点です。
CNNを構成する主な層
CNNは、いくつかの種類の層を組み合わせて構成されます。
畳み込み層
画像から特徴を抽出する中心的な層です。
複数のフィルタを用いることで、多様な特徴マップを生成します。
活性化関数
非線形性を導入するために用いられます。
現在はReLUが標準的に使用されており、学習を安定させる効果があります。
プーリング層
特徴マップを空間的に圧縮し、計算量の削減やノイズへの耐性向上に寄与します。
ただし近年では、必須の構成要素ではなく、ストライド付き畳み込みやGlobal Average Poolingで代替される場合もあります。
出力層
抽出された特徴を統合し、最終的な予測を行います。
全結合層を用いる場合もあれば、Global Average Poolingの後に線形層のみを配置する設計も一般的です。
特徴表現の階層性
CNNでは、層を重ねることで特徴が段階的に抽象化されていきます。
- 浅い層では、色やエッジなどの低レベルな特徴が学習されます
- 中間層では、模様や局所的な構造が捉えられます
- 深い層では、より意味的で抽象的な特徴が表現されます
ただし、この階層構造はあくまで一般的な傾向であり、実際に学習される特徴は、タスクやデータセット、モデル設計によって異なります。
学習の仕組み
CNNの学習は、以下の流れで行われます。
- 入力画像から予測結果を出力します
- 正解ラベルとの差を損失関数によって数値化します
- 誤差逆伝播により、各パラメータの勾配を計算します
- 最適化手法(SGDやAdamなど)を用いて重みを更新します
分類問題では、Softmaxとクロスエントロピー損失の組み合わせが一般的に使用されます。
代表的なCNNモデル
CNNは長年にわたって改良が重ねられ、多くの代表的なモデルが提案されてきました。
- LeNet:CNNの原型となったモデルです
- AlexNet:大規模画像認識においてCNNの有効性を示しました
- VGG:単純な構造を深く積み重ねた設計です
- ResNet:残差接続により、非常に深いネットワークを実現しました
- MobileNet:計算量を抑えた軽量モデルです
- EfficientNet:精度と計算効率のバランスを重視しています
近年では、CNNの設計を見直し、より高性能を目指したアーキテクチャも登場しています。
実務での利用と転移学習
実務においては、CNNを一から学習させるケースは多くありません。
一般的には、事前学習済みモデルを用いた転移学習が採用されます。
転移学習を用いることで、
- 少ない学習データでも高い精度が得られます
- 学習時間や計算コストを抑えられます
- 安定した性能を実現しやすくなります
といった利点があります。
CNNの課題と対策
主な課題
- データが少ない場合に過学習しやすい点
- モデルの内部構造が理解しにくい点
- 計算資源を必要とする点
主な対策
- 転移学習の活用
- データ拡張による学習データの増強
- DropoutやBatch Normalizationなどの正則化手法の導入
まとめ
CNNは、画像データの空間構造を活かしながら、特徴を階層的に学習するための深層学習モデルです。
畳み込みと重み共有という仕組みにより、高次元な画像データを効率よく扱うことができます。
現在では、転移学習を前提とした実務利用が一般的となっており、画像認識技術の基盤として、今なお重要な役割を果たしています。
以上、CNNによる画像認識についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
