Pythonの整数のみの割り算について

2025年6月23日

Pythonにおいて「整数のみの割り算」とは、小数点以下を切り捨てて整数の商だけを求める演算のことを指します。

これは特に床除算（floor division）とも呼ばれ、Pythonでは // 演算子を使います。

基本構文と動作

result = a // b

ここで a と b は整数または浮動小数点数（ただし、整数で使うのが一般的）、result は a を b で割った商のうち、小数点以下を切り捨てた整数になります。

print(7 // 3)   # 出力: 2
print(10 // 2)  # 出力: 5
print(5 // 2)   # 出力: 2

式	結果	型
`7 / 3`	2.3333…	`float`
`7 // 3`	2	`int`（整数）

/ は常に 浮動小数点数を返すのに対して、// は 小数点以下を切り捨てた整数（もしくはfloatでの切り捨て） を返します。

Pythonの // は「数学的な床関数（floor）に基づいた切り捨て」です。

つまり、「0に近い方向」ではなく「負の無限大方向に切り捨てる」ため、負の数の割り算では直感に反する結果になることがあります。

print(7 // 3)    # 2
print(-7 // 3)   # -3 ← -2.333...を切り捨てて -3 に
print(7 // -3)   # -3
print(-7 // -3)  # 2

これは、以下の式を考えると納得がいきます。

a // b == floor(a / b)

Pythonでは、負の商の切り捨て方向が「小さい方」に向かうという仕様になっていることに注意が必要です。

Pythonには divmod(a, b) という便利な関数もあります。

これは 商と余りのタプル を一度に返す関数です。

divmod(-7, 3)  # (-3, 2)

これは実際には

(a // b, a % b)

と同等です。

// は float に対しても使えますが、結果は float 型になります。

print(7.0 // 3)    # 2.0
print(-7.0 // 3)   # -3.0

どんな割り算でも共通ですが、除数が 0 のときは ZeroDivisionError が発生します。

print(7 // 0)  # ZeroDivisionError: integer division or modulo by zero

この例外を避けたい場合は、事前にチェックを入れましょう。

機能	演算子	特徴
通常の割り算	`/`	常に `float` を返す
整数のみの割り算（床除算）	`//`	小数点以下を切り捨てた `int` または `float` を返す
商と余りの両方取得	`divmod(a, b)`	`(a // b, a % b)` に相当
負の数の挙動	`//` は floor（負無限大方向に切り捨て）