クラスタリングと分類は、どちらもデータ分析や機械学習で頻繁に使われる手法ですが、前提条件・目的・結果の解釈が本質的に異なります。
見た目上は「データをグループ分けする」という共通点があるため混同されがちですが、実務で正しく使い分けるには、両者の違いを構造的に理解することが不可欠です。
分類(Classification)とは何か
基本的な考え方
分類は教師あり学習に属します。
あらかじめ各データに対して「正解ラベル(クラス)」が与えられており、そのラベルを再現・予測するためのモデルを学習します。
典型的な例としては以下が挙げられます。
- メールを「迷惑メール/通常メール」に分ける
- レビュー文を「ポジティブ/ネガティブ」に判定する
- ユーザーが「購入するか/しないか」を予測する
モデルは、入力データと正解ラベルの関係から判断境界や確率的な規則を学び、未知データに対して「どのクラスに属するか」を出力します。
主な分類アルゴリズム
- ロジスティック回帰
- サポートベクターマシン(SVM)
- 決定木・ランダムフォレスト
- 勾配ブースティング系モデル
- ニューラルネットワーク
- k近傍法(k-NN)
分類の特徴
- 正解ラベルが必要
- 目的は予測・判定・自動化
- 精度評価が可能(Accuracy、Precision、Recall、F1-scoreなど)
- 業務システムやマーケ施策に組み込みやすい
なお、分類には二値分類だけでなく、多クラス分類や多ラベル分類も含まれます。
クラスタリング(Clustering)とは何か
基本的な考え方
クラスタリングは教師なし学習です。
データには事前に正解ラベルが与えられておらず、アルゴリズムがデータ同士の類似度や分布構造をもとに、まとまり(クラスタ)を抽出します。
主な用途は以下のようなものです。
- 顧客データを購買傾向ごとに分類する
- ユーザー行動ログから利用パターンを発見する
- 文書データを話題ごとに整理する
重要なのは、クラスタリングの結果は「正解を当てる」ものではなく、データの内在的な構造を理解するための仮説生成手段である点です。
主なクラスタリング手法
- k-means
- 階層型クラスタリング
- DBSCAN
- Gaussian Mixture Model(GMM)
これらはすべて、距離・密度・確率分布など異なる基準で「似ている」を定義します。
クラスタリングの特徴
- 正解ラベルは不要
- 目的は構造発見・理解・セグメンテーション
- 結果はアルゴリズムやパラメータ設定に依存する
- 評価は目的に応じて行う必要がある
クラスタリングは完全に自動というわけではなく、クラスタ数や密度条件などの設計判断が結果に大きく影響します。
評価方法の違い(重要)
分類の評価
分類では正解ラベルがあるため、モデル性能を定量的に評価できます。ただし実務では、
- クラス不均衡
- 閾値設定
- 誤判定コストの違い
などを考慮し、評価指標を慎重に選ぶ必要があります。
クラスタリングの評価
クラスタリングには「唯一の正解」が存在しないため、評価は次のように行われます。
- 内部評価指標(シルエット係数など)
- 外部評価指標(後から正解ラベルが得られる場合)
- ビジネス的評価(クラスタごとに行動差・成果差が出るか)
つまり「評価できない」のではなく、評価軸が目的依存になるのが特徴です。
両者の違いを整理
| 観点 | 分類 | クラスタリング |
|---|---|---|
| 学習方法 | 教師あり | 教師なし |
| 正解ラベル | 必要 | 不要 |
| 主目的 | 予測・判定 | 構造理解・発見 |
| 出力 | 既存クラス | データに基づくグループ |
| 評価 | 明確(指標選択が重要) | 目的依存・解釈重視 |
| 主な用途 | 自動化・運用 | 分析・探索 |
実務での使い分けと組み合わせ
実際のデータ活用では、クラスタリングと分類を組み合わせるケースが非常に多いです。
- クラスタリングで顧客やデータのタイプを発見する
- 各クラスタに意味づけを行う
- その結果をラベルとして分類モデルを構築する
- 新規データを自動でタイプ判定する
この流れを理解すると、
- クラスタリングは「発見・整理」
- 分類は「再現・運用」
という役割分担が明確になります。
まとめ
- 分類は「正解を当てる」ための手法
- クラスタリングは「構造を見つける」ための手法
- 違いの本質はラベルの有無と目的
- 分析フェーズではクラスタリング、運用フェーズでは分類が有効
- 実務では両者を連携させるのが王道
以上、クラスタリングと分類の違いについてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
