Pythonの図面作成の基礎について

2025年5月16日

Pythonでの図面作成は、データ可視化やグラフ描画だけでなく、簡単な設計図やレイアウト図、さらにはCADのような2D図面まで描ける非常に強力なツールセットを提供します。

ここでは、Pythonを使った図面作成の基礎について、以下の構成で詳しく解説します。

図面作成とは？Pythonで何ができるのか

Pythonで「図面作成」と言うと、以下のようなことが可能です。

図面の種類	使用例	使用ライブラリ
データグラフ	折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフ	`matplotlib`, `seaborn`, `plotly`
2D図形	線、円、矩形、自由曲線	`matplotlib`, `turtle`, `Pillow`, `svgwrite`
ベクターグラフィック	SVG形式のイラスト、アイコン	`svgwrite`, `cairo`
簡易CAD図面	建築図、構造図のような直線図面	`matplotlib`, `shapely`, `cadquery`
インタラクティブ描画	ユーザー操作に反応する図形	`plotly`, `bokeh`, `PyQtGraph`

基本のライブラリとその特徴

`matplotlib`（最も定番の描画ライブラリ）

科学技術系のグラフから、基本的な2D図形描画まで対応。
高いカスタマイズ性。
オブジェクト指向スタイルで構図管理ができる。

import matplotlib.pyplot as plt

# 基本図形の描画（直線と円）
fig, ax = plt.subplots()
ax.plot([0, 1], [0, 1], label='Line')  # 線
circle = plt.Circle((0.5, 0.5), 0.3, fill=False, color='red')
ax.add_patch(circle)

ax.set_aspect('equal')
ax.legend()
plt.grid(True)
plt.show()

Pythonで図面を作成するプロセス（汎用的なステップ）

キャンバスの用意
→ 描画領域（figure, surfaceなど）を作成する。
描画スタイルの定義
→ 線の色、太さ、ラベル、グリッドなどを設定する。
図形の配置（座標指定）
→ 座標系を理解して、適切な位置に図形を置く。
図形の描画
→ 線、円、矩形、多角形などを配置。
保存または表示
→ plt.savefig(), turtle.done(), svgwrite.save() などで出力。

図面作成に役立つTips

テクニック	内容
アスペクト比の固定	建築・CAD的な図面では縦横比を固定（`ax.set_aspect('equal')`）
グリッド表示	座標軸の認識を助ける（`plt.grid(True)`）
座標ラベルの表示	`ax.text(x, y, "label")` で図面中に注釈を入れる
オブジェクト指向描画	`Figure`, `Axes` を使って複雑な図面を構造的に管理
単位系の明示	インチ、ピクセル、mmなどの単位をコメントや凡例に入れておく

より高度な図面作成（発展編）

shapely + matplotlib
→ 幾何学図形（交差、バッファ、ポリゴン合成）を扱う建築・GIS向け図面。
cadquery
→ OpenSCAD風のスクリプトで3Dモデリング可能なCADライブラリ。
plotly / bokeh
→ インタラクティブな図面や、ズーム・パン可能な図面作成に。

参考リンクと学習素材

タイトル	リンク
Matplotlib公式	https://matplotlib.org/stable/index.html
Turtle Graphics 教材	https://docs.python.org/ja/3/library/turtle.html
svgwrite GitHub	https://github.com/mozman/svgwrite
CadQuery (3D CAD)	https://cadquery.readthedocs.io/en/latest/